リサイクルよりもリユース – 部品の足りないスチールラックをリユース買取した事例-

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

我々『マテバンク』は物流機器(マテハン)のリユース(中古)を広く世の中に認知してもらい、その普及をリードしたいと考えています。

以前、荷主の変更に伴い、不要となったスチールラック部品を処分したいという依頼を受けました。スチールラックではなく、”解体済の部品状態”です。
このような場合、部品だけでは製品化できないため、通常はリサイクル処分(鉄スクラップ)を前提に進めるところですが、我々は何とかして、リユースできないかと検討しました。

結果、不足する部品を調達することで商品を再構築し、新品部品と中古部品を組み合わせた準リユース製品として販売することを前提に、リサイクル処分するよりも高く、中古として買取させていただきました。今回はこの事例をご紹介します。

地球環境改善イメージ

詳細内容:不要スチールラックの処分

スチールラックの余剰部品の内訳

まずは現地で各部品の数と状態をカウントさせていただきました。下記が不要部品の内訳です。

  • 棚板:W1800×D600用 980枚
  • 棚受:D600用     1219本
  • ビーム(梁):W1800  12本

支柱が1本もなく、ビームは少しだけ、あとはたくさんの棚板という状態です。このままでは商品として成立しません。

※部品について不明点がある方はスチールラック部品・組み立て方を解説した記事も合わせてご覧ください

スチールラックの部品
現地の状況。不要部品で庫内スペースを圧迫しており、なるべく早く処分して次の仕事のスペースを作りたいという要望がございました。
スチールラックの不良部品
不良部品。部品のカウントと合わせて不良のチェックも入念に行います。

スチールラックとして販売するための追加購入部品検討

不要部品のサイズと形状からラックメーカーを割り出し、メーカー側にも協力を仰ぎ、現行品との適合性を綿密にチェックします。
その後、単体と連結をどのような割合で販売するかを検討したうえで、追加購入する部品の種類と数を割り出します。今回は下記の部品を購入しました。

棚板をすべて活かしきる設定で、単体120台、連結43台として準リユース品として販売させていただきました(おかげさまで、それほど時間がかからずに、すべて完売しております)。

  • 支柱:H2100       566本
  • ビーム(梁):W1800用  640本
  • 棚受:D600用       737本

ちなみにスチールラックを構成する部品の中で一番高価な部品は棚板です。今回のように部品をリユース品として買い取る場合には、棚板の数が十分にあることが前提となります。

スクラップ処分との買取金額比較

お客様にも、スクラップ処分した場合とお返しできる金額の比較・提示させていただき、納得していただいたうえで、ご判断いただきました。下記が比較表となります。
10万円以上、高くお買取することができ、お客様にも大変喜んでいただきました。

スチールラック処分の比較表

マテバンクがリユース(中古買取)にこだわる訳

我々マテバンクはこのように不要となった物流機器をリサイクル(鉄スクラップ処分)せずに、なんとかリユース(中古買取)にできないか、知恵を絞り、手間をかけています。その理由とモチベーションをいくつかあげさせてもらいます。

お客様のコスト削減に貢献したい

物流機器を取り扱っておられる物流業者の皆様に、不要になった物流機器が中古で売れるという認識が、まだまだ浸透しておりません。
こちらの記事(物流機器リユース買取のメリットと、進め方や事例のご紹介)でご紹介させていただきました通り、中古買取は鉄スクラップと比較して数倍高くお支払いできます。
せっかくマテバンクを知ってくださり、お問い合わせをくださったお客様にはリユース買取によって、しっかりといい思いをしていただき、次の機会にもしっかりと活用してただいたり、他のお客様にご紹介いただいたりして欲しい。これが中古物流機器市場の認知と拡大につながると考えております。

地球環境負荷の低減

リユースとリサイクル、これらはどちらも環境にやさしい処理方法として認識されていると思います。実はリユースとリサイクルには大きな違いがあります。CO2排出量で考えてみましょう。

鉄を溶かしている電炉
鉄を熔解する電炉

鉄のリサイクルは、製鋼会社に運搬され、ギロチンシャー処理により、適切なサイズに切りそろえたのち、電炉処理施設に運び、溶解・圧延し、再形成されたのちに再利用されます。
1トンの鉄をこの電炉で溶かして再生した場合に排出されるCO2は約0.5tになります。
写真をご覧ください。鉄が溶けるまで熱を加えるため、真っ赤になっています。この熱を発生させるために多くのエネルギーが費やされ、この熱自体も大気中に放出されているのです。

一方で、リユースは前ユーザーが不要をそのままの形で使える次のユーザーを見つけて使うため、排出されるCO2は輸送部分だけになります(リサイクルでも輸送部分はかかります)。
このように、地球温暖化対策にへの貢献度は『リユース』が圧倒的に優位なのです。

終わりに

本記事でお伝えしましたとおり、物流機器のリユース(中古)市場はまだまだ認知が拡がっておりません。
マテバンクのことを知ってくださっている皆様には、いざマテバンクを利用できる機会が来ましたら、真っ先にご連絡をしていただきたいです。
また、皆さんの周囲でマテバンクのサービスを活用できる機会を見聞きしましたら、ご紹介くださると大変うれしく思います。

マテバンクサイトはこちらより

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

SNSでもご購読できます。