物流パレットの選び方と買い方

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パレットとは物流現場で利用される、荷物を載せるための荷役台で、倉庫や工場、運送会社の営業所などで、荷役作業の効率向上のために使用されます。

パレットに荷物を載せて、パレットごと荷物を運搬したり保管したりして使用します。フォークリフトやハンドリフトの爪をパレットの差込口に差し込んで取り扱います。

パレットに使われる材質はいくつかあり、代表的なものに樹脂製パレット(プラスチックパレット/プラパレット/プラパレ)、木製パレット(木パレ)、金属製パレット、紙製パレットなどがあります。
サイズや耐荷重、形状などの仕様が様々あり、パレットに関する知識がない状態でパレットを選んでしまうと、後の倉庫業務に支障をきたしてしまうことになるかもしれません。

当記事では、物流パレットの導入を検討されている方のために、パレットの選び方と買い方について説明します。

パレットの材質

それぞれの材質のパレットについて、Wikipediaからの引用を中心に解説します。

木製パレット

古い伝統を持つパレットであり、十分な強度や耐荷重量を持ち、生産・廃棄にかかるコストが低いといった総合的なバランスの良さから、今日でも広く使われている。後述の合成樹脂製パレットと区別をするために「木パレ」と呼ばれることもある。特に、一部が破損した場合においても修理が容易である点は、他の材質にない大きな長所である。しかし、その反面湿気には弱く、湿度の高すぎる環境では変形したり朽ちてしまう可能性がある。木材資源としてリサイクルすることもできるが、防腐剤が使われていることがあるため、一部の国では焼却処分(燃料としてのリサイクルを含む)が禁止されている。
また、害虫(幼生・卵含む)が木製パレット内部に存在したまま国境を越え、深刻な環境破壊をもたらしているという教訓を得てからは、一部の国でポプラ、合板、もしくは燻蒸など殺虫処理をしたもの以外の、生木製パレットを使用した物品の輸入を禁止している。

Wikipedia「パレット(輸送)」より

木製パレットは製造時に金型が不要であるため、オーダーメイドで独自サイズのパレットを作る必要がある場合でもコストを抑えて製作することができます。

プラスチックパレット

プラスチックパレット(略してプラパレ)とも呼ばれる。木製パレットと比べ強度や耐荷重量に優れ、破損が少ないのが特徴である。その強度を活かし、リフトアップ用の穴が4方向に設けられたものも見られる。木製パレットと比較して、湿気に強く湿度の高い環境での使用にも耐え、輸出に先立つ殺虫処理も不必要である。一方で、木製パレットと異なり、破損してしまった場合の再生は困難であり、産業廃棄物として廃棄せざるを得ないという欠点がある。

Wikipedia「パレット(輸送)」より

プラスチックパレットに使われる樹脂素材には、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)があります。
PPは安価で重量も軽く、加工が容易です。またリサイクル性が高く、環境にも優しい性質を持ちます。一方、PEはPPと比較すると剛性面での性能が若干劣りますが、冷凍環境下での耐衝撃性に優れます。そのため冷凍倉庫では一般的にPE素材のプラスチックパレットが利用されます。

金属製パレット

鉄やアルミニウムで作られたパレットで、強度・耐荷重量面での優秀さは群を抜く。コストの高さ、パレット自体の重量による運用の難しさなどから、一般にはあまり使用されないパレットである。アルミニウム製のボックスパレットは、医療関係の物流でしばしば見られる。また、航空貨物輸送においてもアルミ製のパレットが使用されることがある。

Wikipedia「パレット(輸送)」より

精密部品工場や食品工場など、コンタミネーション(異物混入)が許されない現場でも金属パレットが利用されます。

紙製パレット

特殊なクラフト紙で組み立てられたパレット。使用される事業所・工場ではしばし「段パレ」(段ボールパレット)と呼ばれる。耐荷重量は、近年の製造技術向上により、約5 t(トン)程度まで耐えられる(TSパレット202など)ようになっている。基本的には、使い捨てを前提として運用される。しかし、廃棄・リサイクルの容易さは特筆に価するものがあり、環境保護の観点から敢えてこのパレットが採用される場合もある。メリットは、製造コストが低い、軽くて省スペースなので輸送コストが低いなど。

Wikipedia「パレット(輸送)」より

プラスチックパレットと木製パレット、どっちを選べばいい?

上記「パレットの材質」の解説のとおり、ワンウェイ(使い捨て)用途でない限り、多くのユーザーにとっての現実的な選択肢は、プラスチックパレットか木製パレットになるでしょう。

ではプラスチックパレットと木製パレット、どちらを選べばよいのでしょうか?
性能とコストで比較してみます。

性能

プラスチックパレットと木製パレットの性能と評価を下表に整理します。

性能プラスチックパレット 木製パレット  
衛生性汚れても洗浄がしやすく衛生的虫がつく可能性がある、木くず混入の可能性がある
耐久性高い(10-20年)低い(3-5年)
匂いほとんど無臭木、防腐剤などの匂いが移る可能性がある
輸出規制なし燻蒸処理が必要
補修性不可能可能
リサイクル性可能不可能(ウッドチップ/産業廃棄物として処分)
品質安定性個体差がない個体差が大きい
情報システム対応バーコードラベル、IDタグの取り付けが容易取り付けには特殊な加工が必要
自動化対応寸法が均一なのでトラブルが少ない木の反り、削れでトラブルが発生しやすい

コスト

木製パレットの方が購入時のコストが安価であるため、短期的なコストは低く抑えられます。しかし木製パレットは耐久性が低いため、プラスチックパレットの方が購入時のコストは高くとも長期的にはコストを低く抑えられます。

プラスチックパレット木製パレット
短期的なコスト高い安い
長期的なコスト安い高い

下図、日本プラパレットによる経済性比較例によると、5年使えばプラスチックパレットの方が経済的になるそうです。

日本プラパレット株式会社サイトより引用

その他の選定ポイント

プラスチックパレットと木製パレット、どちらを使うかを決めるためには自社の都合だけではなく、出荷先の相手の状況や、業界動向にも気を配る必要があります。必ず取引先、荷受け側の要望を確認するようにしましょう。

パレットのサイズ

1970年にJIS(日本標準規格)により、T11型(W1100mm × D1100mm × H144mm)が「一貫輸送平パレット」として規格化されました。このパレットが日本における標準サイズです。「イチイチパレット」という俗称で呼ばれることもあります。

ただ、T11型パレットによる標準化は進んでおらず、普及率は40%以下といわれています。日本では業界により普及しているパレットのサイズが異なり、その種類は100程度あると言われています。

業界ごとのパレットサイズ

業界ごとの主要なパレットサイズは下表のとおりです。特別な理由がない限り、業界で標準的に利用されるサイズのパレットを選択するのがよいでしょう。

業界サイズ備考
食品
日用品
医薬品
1100 × 1100 mmT11型と呼ばれる
酒類・飲料1100 × 900 mmビールケース6箱がちょうど載る
冷凍食品1200 × 1000 mm12型と呼ばれる
石油化学
製糖・精米
1400 × 1100 mm14型と呼ばれる
角型フレコン、袋物の積載に最適
化学業界(ドラム缶)1220 × 1220 mmドラム缶4本がちょうど載る
農業1500 × 1500 mm軽トラックの荷台に収まる
コンクリート1160 × 1160 mmコンクリートブロックの積載に最適

トラック、コンテナへの積載効率

パレットサイズの選択において、輸送の際にどれだけ効率的に積載して運べるかも重要なポイントです。

大型トラックの荷台、ISO国際貨物コンテナ、JRコンテナに積載するケースを例に、T11型、14型、12型のパレットのそれぞれの積載効率を見てみましょう。

図の引用元は「山﨑純大「パレットで物流が変わる」ダイヤモンド社」です。

大型トラック荷台

荷台サイズが長さ8,900 mm、幅2,350 mmの大型トラックの場合です。

大型トラックの荷台へのパレットの積載効率 T11型、12型、14型

T11型が一番積載効率がよく、16枚積載でき、効率は93%となります。ついで、14型が12枚で効率88%、12型が14枚で効率が80%となります。

ISO国際貨物コンテナ(型式/1A)

40ftコンテナ:コンテナ内寸 長さ11,998 mm、幅2,330 mmの場合です。

40ftコンテナへのパレットの積載効率 T11型、12型、14型

T11型と12型の積載効率がよく、それぞれ20枚積載でき、効率は86%となります。14型は幅の制約で1列しか積めず、大きく効率を下げて10枚しか積載できず、効率は55%となります。

JRコンテナ(5tコンテナ/型式18D)

鉄道輸送に使われるJRコンテナ:コンテナ内寸 長さ3,647 mm、幅2,266 mmの場合です。

JRコンテナへのパレットの積載効率 T11型、12型、14型

T11型の積載効率が一番良く、6枚積載でき、効率は88%となります。ついで14型が4枚、効率75%。12型が4枚、効率58%となります。

パレットの仕様

耐荷重

パレットの耐荷重仕様には、最大動荷重と最大静荷重があります。

最大動荷重

最大動荷重は1枚のパレットに載せられる最大積載重量を示します。パレットに載せたまま荷役を行うことになるので「動荷重」と呼びます。最大動荷重は1,000 kgが一般的です。

最大静荷重

最大静荷重は荷物を載せたパレットを保管する際に、何段まで積み上げて保管してよいのかの目安になります。
静荷重は動荷重の2〜4倍に設定されているのが一般的です。例えば、最大静荷重が4,000 kgのパレットの場合、パレット1枚あたり1,000 kgの荷物が積まれていれば、4段積みまで耐えられることになります。それ以上積むと、パレットが変形するなどのリスクがあり安全上の問題があります。

片面/両面仕様

片面パレット

表面の形状と裏面の形状が違うパレットです。表面は荷物が載せやすく平らな形状になっている一方で、裏面は隙間が空いており、軽量化とコスト削減を実現しています。
この裏面の隙間によって、ハンドリフト(ハンドパレットトラック)での荷役作業を行うことができます。※隙間にハンドリフトのローラーが入り込むことで動作します。

両面パレット

裏表どちらの面を使用しても、形状と強度が同じパレットです。裏面も平らな形状であるため段積みしやすいという特徴があります。

両面パレットはフレコンなどの袋ものをパレット段積みするのに適しています。片面パレットを使って袋物を段積みすると、下段の荷物が上段パレットの隙間に入ってしまい、荷降ろしの際にフォークの爪でフレコンなどの袋を破ってしまうことになります。

両面パレット用の特殊なハンドリフト

両面パレット用ハンドリフト
出典:台車館

通常のハンドリフトでは両面パレットに利用できませんが、爪が長く、パレットの向こう側まで突き抜ける方式の特殊なハンドリフトであれば、両面パレットであってもハンドリフトが利用できます。

二方差し/四方差し

二方差し

パレットの差込口が前後にあり、2方向からフォークの爪を差すことができるパレットです。

四方差し

パレットの差込口が前後に加えて、左右にもあり、4方向からフォークの爪を差すことができるパレットです。荷役作業の自由度があがるため、二方差しパレットに比べると業務効率が上がるケースがあります。

ワンウェイパレット

ワンウェイパレットは、運搬の際に片道のみで利用され、回収しない前提で利用されるパレットです。

輸出の際に利用するパレットを回収するのは、コストがかかり管理運用の負荷も高いため、現実的ではありません。一般的に輸出用パレットにはワンウェイパレットが利用されます。

通常のパレットと比較すると、購入コストは安く済みますが、使い捨て前提の強度であるため耐久性が低く、処分コストがかかってきます。

パレットの買い方

メーカーから買う

サンコー岐阜プラスチック工業ユーピーアールなどのパレットメーカーから購入する方法です。

多くのメーカーで販売サイトは用意されておらず、価格は非公開となっています。お問合せより連絡をして手続きを進める必要があります。

直接メーカーから購入することはできず、代理店を紹介される場合もあります。価格は取引実績や購入数量などで変動します。

販売商社、販売代理店から買う

物流機器を取り扱っている販売商社や販売代理店から購入する方法です。普段から付き合いのある業者がいれば、相談してみましょう。

価格は、業者とパレットメーカーの関係・御社と業者の関係および、購入数量によって変動します。販売代理店などの業者は交渉のプロです、メーカーから直接購入するよりも安く購入できるケースもあるでしょう。

物流機器販売は代理店制度が定着している業界で「引き合い優先制」というルールがあります。メーカーは最初に問合せがあった業者を優先し、他の業者から同じ案件の見積もり依頼があったとしても、見積りを出しません。同一メーカーの商品について、相見積もりすることは出来ませんので、複数の業者に同時並行で見積り依頼するのは避け、信頼できる業者1社に任せましょう。

通販で買う:新品

モノタロウ、アスクルなどの通販サイトでもパレットを購入することができます。

メーカーや販売商社/販売代理店と違い、価格が明示されているため、すぐに購入判断ができます。安いものだと、再生樹脂パレット軽量薄型タイプで、3,590円から購入できます(2022年4月調べ)。

モノタロウのプラスチックパレットカテゴリ

アスクルのプラスチックパレットカテゴリ

通販で買う:中古

プラスチックパレットは耐久年数が10〜20年と長く、中古商品でも十分に実用性があります。

今後、ますます重要になってくる脱炭素経営の推進および、地球環境改善に貢献するため、積極的に中古プラスチックパレットを採用するべきでしょう。また中古プラスチックパレットの導入によりコストの削減も実現できます。
サイズや強度などの仕様によりますが、価格は1,500円前後です。

在庫規模が小さい業者も含めると、様々な業者が中古プラスチックパレットの販売をしています。中古プラスチックパレットは単価が安く、運賃の割合が大きい商品ですので、近くに在庫している商品のほうがコスト優位になります。
まずはパレットを使用する場所の近くに在庫・販売している中古プラスチックパレットがないか、探してみましょう。

我々が運営する「マテバンク」でも中古プラスチックパレットを取り扱っており、多くの物流拠点が存在する埼玉県、群馬県、三重県、大阪府に在庫している商品を中心に販売しております。中古パレット販売業者としては、種類も数量も日本最大級の品揃えであると自負しております。
お探しのサイズ、仕様にあう商品がないか是非探してみてください。
マテバンクの中古パレットカテゴリ

1100×1100サイズのプラスチックパレットは人気が高く、入荷してもすぐに売り切れてしまう状態が続いています。
マテバンクでは新入荷のお知らせメールを月に数回配信しております。中古プラスチックパレットをお探しの方は下記リンクより、新入荷のお知らせメールを購読いただければ、出物を買うことが出来るかもしれません。是非ご登録をお願いいたします。

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