物流倉庫のラックの選び方と導入方法がわかる!スチールラックの種類と仕様、レイアウト方法やABC分析まで解説

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今回は、マテハンの中でも特にポピュラーなスチールラックを取り上げたいと思います。スチールラックはいわゆる「棚」で、ケース(段ボール)やバラ品の保管に適しており、ほとんど全ての倉庫や物流センターで利用されていると言ってもよいのではないでしょうか。

スチールラックは、保管する荷物の重さ、要はラックの耐荷重によって種類が異なります。耐荷重が軽い順に、軽量ラック、中軽量ラック、中量ラック、重量ラックと呼びます(詳しい定義は後述します)。近年ではECの発展でBtoC物流のボリュームが大きくなっており、個人向けの小さな商品やバラ品など、比較的軽い商品を保管する目的で、スチールラックの中でも、中軽量ラックや中量ラックのニーズが高まってきています。そういった背景からスチールラックを新しく導入される企業様も増えており、マテバンクでも沢山のお問い合わせをいただいております。

今回はスチールラックを導入する際の選び方を、ラックの種類の紹介を交えながらご説明いたします。

スチールラックの選び方

使用目的に合ったスチールラックを選ぶためのポイントが3つあります。

①耐荷重に応じたスチールラックの選択(軽量ラック/中軽量ラック/中量ラック/重量ラック)

②スチールラックのサイズ W(幅)×D(奥行)×H(高さ)の選択

③天地段数の選択

スチールラックの選び方① 耐荷重に応じたラックの選択

最初にスチールラックの「耐荷重」を選びます。耐荷重は、棚1段あたりに均等荷重(棚板の全体に均等に物を積んだ状態)で何kgの荷物を載せられるかという性能を示し、その値によってスチールラックの名称が変わります。

倉庫ラックの種類と名称、耐荷重の表

耐荷重が大きいほど、棚板の厚みが増しますので、価格も高くなります。必要最低限の耐荷重を選ぶことで導入コストを適正にすることが出来ます。日用雑貨やアパレルなど軽い商品だと軽量ラックもしくは中軽量ラック、少し重ための荷物だと中量ラックが利用されます。軽量~中量くらいの耐荷重のニーズが多く、マテバンクでは中軽量ラックと中量ラックの取り扱いが特に多くなっています。

重量ラックは耐荷重が1000㎏以上あることから、液体や金属など、重量物の中でもかなり重い物を保管する際に使用されます。重量ラックのお問い合わせをいただくことも多々ございますが、実際は耐荷重300㎏の中量ラックで十分な場合が多く、ユーザー目線で重量のある物を保管する際に必要なラックを重量ラックと呼ばれることが多いようです。

また耐荷重1000㎏となると1つ1つのに保管物がかなり重くなるためパレットで保管する場合も多くなります。そのため重量ラックとパレットラックを同義として呼ばれることも多くあるようです。

※パレット保管用のラックであるパレットラック/重量ラックについては下記の記事をご参照ください。
パレットラック(重量ラック、重量棚)とは?

 スチールラックの選び方② サイズの選択

スチールラックの「サイズ」は保管商品の荷姿と設置スペース(倉庫レイアウト)によって決めます。
各メーカー共通の規格サイズが存在し、細かな違いはありますが、各社ともおおよそ下表のサイズの商品をラインナップしています。

倉庫ラックのサイズ表

規格サイズ以外でもオーダーすることはできますが、受注生産になる(オーダーしてから生産が開始される)こともあり、規格サイズと比較して、導入コストと納期の面で条件が悪くなる場合がございます。

物流倉庫では、スチールラックの間口・幅(W)は1800サイズ、高さ(H)は1800以上であることがほとんどです。天井高が高い倉庫では、高さ(H)が4000(4m)を超えるような高層ラックが使われることもございます。

スチールラックの選び方③ 天地段数の選択

次にスチールラックの「天地段数」を決めます。天地段数とは、ラック1台あたりの棚板の数のことで、最上段も1段としてカウントします。

天地段数は単純に保管商品の荷姿とスチールラックの高さによって決めます。保管商品を出し入れする際のクリアランスも考慮する必要があります。

一般的な天地段数は、中軽量ラックや中量ラックですと、高さがH1800で4~5段、H2100で5~6段、H2400で6~7段程度となります。もちろん、保管する荷物の大きさによって変わってきます。
スチールラックの段の高さは、ラックの支柱に2~3cm位おきに設けられているツメ穴に合わせて自由に設定することができます(棚板を置く、棚受けという部材をツメ穴に引っ掛けて使います)。設置した後でも棚板の位置も数も自由に、また簡単に調節することができます。

なお棚板は、スチールラックの部材の中では最もコストの高い部材です。他に支柱、ビーム、棚受けといった部材がありますが、これらよりも棚板の方が、一般的には部材1つあたりの単価が高くなります(ただし特殊な高さの支柱などはこの限りではないです)。棚板の数が多くなり過ぎないよう、天地段数を必要最低限の設定にするのが、スチールラックを導入するコストを抑えるポイントになります。

連結数(単体タイプと連結タイプの組み合わせ)とラックレイアウトの考え方

ラックの種類が決まったら、最後に設置予定のレイアウトに応じて、単体タイプと連結タイプの必要数を決めます。

軽量ラック、中軽量ラック、中量ラック、重量ラックといったスチールラックはいずれも、複数のラックを相互に連結させる(隣り合うラック同士で支柱を共有させながらつなげていく)ことができます。これはパレットラックについても同様です。

スチールラックを単体で並べたイメージ

スチールラックを単体で並べたイメージ

スチールラックを連結する際に基本となるのが「単体」タイプ(「基本」タイプと呼ばれることもあります)です。単体タイプとは、わかりやすく言うと支柱部材が4本揃っている商品のことを指します。支柱が4本ありますので、当然ですがラック1台で自立します。

スチールラックを連結して設置したイメージ

スチールラックを連結で設置したイメージ

これに対して連結タイプは、支柱部材が2本のみになります。正面から見て、左右いずれかの側の支柱2本があり、その反対側には支柱がありません。支柱がない側は、隣のラックと支柱を共有して接続する、要は連結することで立つことができます。

連結タイプだけでは自立することができないので、スチールラックを設置する際は、最低でも1台は単体タイプが必要となります。

≪例≫
下記の図のように同じ5台を設置する場合でも設置の仕方によって必要な単体と連結の数量が異なります。

スチールラックを5連結で設置した場合と、3連結と2連結で設置した場合

連結タイプを多く設置するメリット

単体タイプであれば、全て自立するためレイアウトの変更が容易になり自由度が高いと言えます。ですが、連結タイプを上手く組み合わせることで、「コスト削減」「省スペース化」「耐震性能の向上」という3つの大きなメリットを得ることができるため、できるだけ連結タイプを活用されることをおすすめしています。

1. コスト削減

連結タイプの方が、片側の支柱が不要で部材が少ない分、単体タイプに比べて安価になります。大量の導入をご検討される際は特に1台1台の商品単価の積み重ねで大きな価格差となります。

例)マテバンクで取り扱う一般的な中軽量ラックの単体タイプ、連結タイプの価格で比較いたしました。

単体タイプ:17,500円/台

連結タイプ:13,000円/台

連結タイプを1台採用することで、4,500円(約26%)のコスト削減になります。

2. 省スペース化

片側の柱を共有して繋げていくことから1連結につき柱1本分の幅のスペースを省略することができます。商品によって異なりますが、柱1本あたりおおよそ5㎝程度です。例えば、広い倉庫で、スチールラックを1列に20台並べる(※)とすると、連結タイプによって節約できるスペースは1m分になります。ラックを並べる台数が多いほど、スペースへの影響も大きくなります。

(※)実際には単体タイプ1台に連結タイプ19台を1列で接続することはあまりなく、倉庫の柱や通路を挟むたびに列を途切れさせて、また単体タイプを設置し、そこに連結を接続して列を作ることが一般的です。

3. 耐震性能の向上

連結して設置することで地震による揺れに多少強くなります。スチールラックが倒れてしまうリスクも単体タイプのみで設置するより小さくなりますのでおすすめです。

このように、連結タイプをうまく活用すると、コスト削減、省スペース、耐震性能の向上と大きなメリットがありますので、ぜひおすすめしたいと考えております。レイアウトや単体と連結の組み合わせについてのご相談がございましたら、マテバンクまでお気軽にお問い合わせください。

スチールラックのレイアウトの決め方

業務エリアを決める

どのような倉庫であっても「入荷」「入荷検品」「保管」「ピッキング」「出荷検品」「出荷」の6つの業務を行うことになります。

倉庫レイアウトを決める際は、まずはこれらの業務エリアをどう配置するか、倉庫形状と倉庫内業務の動線を考慮して決めます。一般的に、一筆書きできる動線が効率的なレイアウトとされています。下記に例をあげます。

入荷口と出荷口が片側の倉庫(U型レイアウト)

倉庫の業務エリア設計、U型の動線

入荷口と出荷口が両側の倉庫(I型レイアウト)

倉庫の業務エリア設計、I型の動線

※ここでは、簡易的に表現するために保管エリアとピッキングエリアを統合していますが、別エリアとすることも多くあります。その場合、保管エリアは、パレットラックやネステナーなどを設置してパレット単位で保管し、ピッキングエリアではスチールラックなどを設置して、出荷の単位で保管されます。

ラックのレイアウトを決める

ピッキングエリア/保管エリアにラックをどのように配置するかはピッキング動線と通路幅、保管効率のバランスで決めます。

通路幅はピッキングに使用する台車と荷物の大きさ、およびピッキング作業者がすれ違うかどうかなどから決めます。

ピッキング動線の例を図示したラックのレイアウト例を以下に示します。

保管効率を優先したレイアウト

U型

スチールラックのレイアウト例、U型

I型

スチールラックのレイアウト例、I型

ピッキング効率を優先したレイアウト

U型

スチールラックのレイアウト例、動線、U型

I型

スチールラックのレイアウト例、動線、I型

在庫品の保管場所を決める

次にレイアウトしたラックのどこに、どの在庫品を保管するかを決めます。

ポイントはピッキング作業時の移動距離をいかに短縮できるか、となります。ピッキング動線を短縮するには、入出荷頻度の高いものを出入り口付近に配置するのがセオリーです。

これを実現するためにABC分析という手法を用います。ABC分析とは、重点分析とも呼ばれ在庫品目を重要度別にクラス分けして、クラス別に段階的な管理を適用する手法です。入出荷頻度の高い順にAクラス品、Bクラス品、Cクラス品に分けて配置場所を決めます。

ABC分析

ABC分析、流動性/入出荷頻度でクラスを分ける 表

ABC分析の改善前後の保管レイアウト

ABC分析後に改善したレイアウト例

いかがでしょう?上記の例でピッキング動線がかなり短縮されたことがわかるかと思います。

ここではピッキング移動距離のみで配置を検討しましたが、天井高の高い倉庫などで導入される高層中量ラックなどではラックの上部のCクラス品を保管するなど高さをキーに配置することもできます。いずれにしてもアクセスしやすい場所にAクラス品を配置することが肝要です。

今回あげた例はいずれも簡略化していますが、実際の業務では様々な条件のもとでレイアウトを決める必要があります。

中古商品活用のすすめ

スチールラックは一般的によく使われる仕様があり、マテバンクが中古品として仕入れた商品もそれらのサイズが主となります。機能面も新品と中古では差はなく、耐久性もご心配には及びません。

ご参考までに中古と新品で、どのくらいの価格差があるのか整理しましたので、下表をご参照ください。

中軽量/中量ラック 新品と中古の価格比較

(2022年04月調べ)

※新品相場として、大手工具通販サイト、ラック通販サイト2つの、計3サイトから仕様を揃えて金額情報を取得し、その平均値を適用している。

このようにマテバンクの中古マテハンを活用すれば、新品と比較して約5割程度、大幅なコスト削減が可能です。また、中古品で必要な台数がそろわない場合は、中古品と新品を組み合わせての提案も行っており、好評をいただいております。

スチールラックの導入をご検討中の方はぜひ一度、マテバンクの中古スチールラックで利用できるものがないか、確認していただき、選択肢の一つに加えてくださいますと幸いです。

ご希望に応じて、設置工事やレイアウト設計の助言などもさせていただいております。倉庫の新設、移転、統合をご検討の方はぜひご連絡ください。お待ちしております。

スチールラックが不要になった場合も高値買取させていただきますので(※)、どうぞお気軽にお申し付けください。

※中軽量ラック(単体):5,500円前後/台、中量ラック(単体):6,300円前後/台

マテバンク買取相場一覧はこちら

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